『ウルトラマン倶楽部2 帰って来たウルトラマン』[怪獣を操る側になった、あの熱い午後]

タイトル ウルトラマン倶楽部2 帰って来たウルトラマン
発売日 1991年7月19日
発売元 バンダイ
当時の定価 6,800円
ジャンル RPG

あの頃、テレビの前でウルトラマンの変身ポーズを真似したのは誰もが通る道だった。だが、このゲームを手にした時、僕らは初めて「怪獣を倒す側」ではなく「怪獣を操る側」に立ったのだ。赤いコントローラーを握りしめ、ベムスターやレッドキングを動かす時の、あの少し後ろめたいような高揚感。友達の家で、互いの怪獣をぶつけ合ったあの熱い午後を、あなたは覚えているだろうか。

セレクトボタンに込められたスペシウム光線

あの独特の操作感は、当時の子供たちに確かな手応えを与えた。十字キーでウルトラマンを動かし、Aボタンでスペシウム光線を放つ。この単純明快なシステムは、キャラクターゲームの基本形を確立したと言えるだろう。しかし、その背景には、特撮作品をゲームという新たなメディアにどう落とし込むかという、開発陣の苦闘があった。単に映像を模倣するのではなく、プレイヤーが自らウルトラマンになりきるための「間」と「演出」を、限られた容量の中でどう作り込むか。その挑戦が、後のアクションゲームにおける「必殺技入力」や「変身シーンの演出」の礎となっていったのである。

地上を歩くウルトラマンの戦術的間合い

十字キーを握りしめ、Bボタンを連打したあの感触を思い出してほしい。画面の中のウルトラマンは、決して自由に空を飛べるわけではなかった。むしろ、地面に足を付け、一歩一歩敵に近づき、タイミングを見計らってスペシウム光線を放つ。この「制約」こそが、ゲームデザインの核心だ。アクションゲームでありながら、格闘ゲームのような間合いと読み合いを要求する。敵怪獣の動きを観察し、攻撃の隙を突く。単純な連打では決してクリアできない緊張感が、プレイヤーに「戦っている」という没入感を与えた。限られたアクションから生まれる深い戦術性、それがこのゲームを「面白い」と感じさせる原点である。

必殺技入力の原型が生んだ二層構造

あの独特の操作感は、確かに後の時代への道標となった。十字キーでウルトラマンを移動させ、Aボタンでパンチ、Bボタンでキック。そして、敵怪獣との間合いが詰まった瞬間、セレクトボタンを押し込むことで発動する必殺光線技。この「通常攻撃と特殊技をボタンで完全に切り分ける」システムは、当時としては異色だった。

この構造は、後の格闘ゲームの基本形を先取りしていたと言えるだろう。『ストリートファイターII』に代表される、弱中強のパンチ・キックに加え、コマンド入力による必殺技という体系は、本作の「通常戦闘」と「セレクトボタン技」の二層構造に通じるものがある。プレイヤーは常に、接近戦で体力を削るか、一発逆転の光線技に頼るかという選択を迫られた。これは単純なアクションを超えた、戦略性の萌芽であった。

確かにゲームとしての完成度には議論の余地がある。しかし、アクションゲームの中に「技選択」という概念を明確に持ち込んだその試みは、後の多くの作品が踏襲することになる一つの原型を提示したのである。

GAMEXスコア

キャラクタ 音楽 操作性 ハマり度 オリジナル度 総合
85/100 72/100 65/100 70/100 68/100 72/100

キャラクターへの愛着が操作の難しさを凌駕する、そんなゲームだ。ウルトラマンや怪獣たちのビジュアルは確かに秀逸で、ファンの心を掴んで離さない。しかしコントローラーを握れば、その動きの鈍さと操作性の厳しさがすぐに露わになる。音楽は作品世界をしっかり盛り上げるが、ゲームとしての独創性にはやや物足りなさが残る。全体として、熱烈なファンであればその世界観に浸りながら遊べるが、純粋なアクションゲームとして追求するには少しばかり我慢が必要な一本と言えるだろう。

あの独特の操作感は、今なおアクションゲームの「気持ちよさ」を追求する開発者たちに、目には見えない影響を与え続けている。ウルトラマンが放つスペシウム光線の閃光は、単なる子供向け作品を超え、一つの遊びの原風景として、我々の記憶に深く刻み込まれているのだ。