任天堂、「Wiiリモコン」特許訴訟で完全勝利。独裁判所がBigBenに対し約700万ユーロの賠償命令を下す

GAMEX

任天堂がまた一つ、法廷での「伝説」を更新したかもしれない。

海外メディアおよび知財専門メディアの報道によると、ドイツのマンハイム地方裁判所は2025年10月30日、周辺機器メーカーのBigBen Interactive(現Nacon)に対し、任天堂の欧州特許を侵害したとして、総額700万ユーロ(約11億円)近くの損害賠償支払いを命じる判決を下した。

争点となっていたのは、あの「Wiiリモコン」に関する特許だ。
2010年から足掛け15年以上にも及んだ泥沼の法廷闘争は、任天堂側の「完全勝利」に近い形で一応の決着を見ることとなった。

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「逸失利益」を完全認定した画期的な判決

今回の判決が法曹界で注目されているのは、その賠償額の算定方法にある。

通常、特許侵害訴訟では「ライセンス料相当額」で手打ちにすることが多い。自社の原価や利益率を開示するリスクを避けるためだ。
しかし今回、任天堂はあえて「逸失利益(本来得られたはずの利益)」ベースでの賠償を求めた。そして裁判所は、任天堂の主張をほぼ全面的に認めたのである。

「他社製品もどうせ侵害している」という論理

特筆すべきは、裁判所が採用したロジックの強烈さだ。

被告のBigBen側は「もし我々の製品がなければ、消費者は任天堂純正品ではなく、他のサードパーティ製コントローラーを買っていたはずだ」と主張し、賠償額の減額を求めた。
しかし裁判所はこれを一蹴。「市場に出回っている他のサードパーティ製品も特許を侵害している可能性が高い」として、「BigBenが販売した分は、すべて任天堂が販売できたはずのもの(代替品なし)」と認定したのだ。

さらに、任天堂の生産・物流能力には十分な余力があったとして、追加販売にかかる固定費(オーバーヘッドコスト)の控除も認めなかった。
つまり、「売上ほぼそのままが損害額」という、侵害者にとっては悪夢のような計算式が適用されたことになる。

「遅延戦術」が裏目に…膨れ上がった利息

今回の賠償額が700万ユーロに達した背景には、長引いた裁判期間もある。

報道によると、BigBen側は裁判所が選任した専門家を拒否するなどして審理を遅らせる戦術をとっていたとされる。
しかし、これが完全に裏目に出た。ドイツの法律に基づき、基本金利に5%を上乗せした利息が2018年4月から発生し続けた結果、賠償総額の相当部分を「利息」が占めることになったという。

時間を稼げば稼ぐほど、支払うべき金額が雪だるま式に増えていく。
任天堂法務部を相手に時間稼ぎをすることが、いかに割に合わないかを示す実例と言えるだろう。

15年越しの決着、Wiiの技術は死なず

対象となった特許(EP 1 854 518)は、加速度センサーとカメラを組み合わせたWiiリモコンの人間工学的機能に関するものだ。
Wiiというハード自体はレガシーとなったが、そこで確立されたモーションコントロール技術の権利は今なお強固に守られている。

なお、BigBen側はこの判決を不服としてカールスルーエ高等裁判所に控訴しているが、判決は「担保提供を条件に仮執行可能」とされている。
「最強」と謳われる任天堂法務部の辞書に、妥協という文字はなさそうだ。

Source: BARDEHLE PAGENBERG

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