| タイトル | スーパースターフォース |
|---|---|
| 発売日 | 1986年3月14日 |
| 発売元 | テクモ |
| 当時の定価 | 5,500円 |
| ジャンル | シューティング |
あの頃、ゲーム雑誌の片隅に「スーパースターフォース」というタイトルを見つけて、心が躍ったものだ。ハドソンから出るはずだったあの続編が、なぜかテクモから発売されることになった。その裏には、版権をめぐる大人たちの、子供には知る由もない激しい争いがあった。知らずに遊んでいたあのゲームは、実は「スターフォース」の正統な続編であり、ハドソンの「スターソルジャー」とは全く別の運命を背負っていたのだ。シューティングとダンジョン探索が融合した、当時としては異色すぎるそのゲームは、雑誌の攻略記事がなければ到底クリアできなかった。あの複雑な時空を超える謎解きは、今思い返しても驚きに満ちている。
ハドソンの仮題が生んだ二つの名作
そう、あのワープ音だ。赤い扉に触れると鳴る、あの独特の電子音。あの音を聞いただけで、また別の時代に飛ばされる予感がしたものだ。『スーパースターフォース』は、単なるシューティングゲームの続編ではなかった。あのゲームが生まれた背景には、当時まだ混沌としていたゲーム業界の、ある種の「事件」が横たわっていた。実は、この続編はハドソンが勝手に『スーパースターフォース』という仮題で開発を進めていたのだ。版権を持つテクモ(当時はテーカン)の社長がこのニュースを知った時の怒りは想像に難くない。結果、テクモは自社で続編を作ることを決断し、ハドソンは版権を使えなくなった企画を『スターソルジャー』として生まれ変わらせた。一つの版権を巡るせめぎ合いが、二つの名作シューティングを生み出すという、当時ならではの業界ドラマがそこにはあった。テクモはこの一件で、自社IPの価値を強く認識したに違いない。だからこそ、前作を超える「何か」が必要だった。それが、シューティングとダンジョン探索、そして「過去を変えることで未来が変わる」という、当時としては画期的なタイムトラベル要素を融合させた、あの複雑で深いゲーム世界の誕生につながっていく。
タイムを払って開ける赤い扉の誘惑
そういえば、あのゲーム、クリアした後も何度もタイトル画面に戻ってスタートボタンを押し続けたものだ。ゲームオーバーになっても、タイム以外の全てを引き継いで2010年から再スタートできる。この「やり直し」のシステムが、このゲームの面白さの核心に直結している。
なぜ面白いのか。それは「失敗が全てを無にしない」という安心感が、未知への挑戦を後押しするからだ。シューティングパートで敵弾にやられ、タイムが半分になっても、手に入れたアイテムや開いた扉はそのまま。だからこそ、次は「あの赤い扉の先には何があるんだ」と、必要以上にタイムを貯めてワープ料金を払いにいく冒険心が湧いてくる。コントローラーの十字キーで地上を探索し、Aボタンを連打して謎の物体に話しかける。その繰り返しが、時空を超えた壮大なパズルの一片を少しずつ明らかにしていく感覚を生み出した。
当時の技術的制約が、逆に独創的なゲームデザインを生んだ。セーブ機能もパスワードもない。ならば、ゲームオーバー自体を「仕組み」に組み込んでしまおう。この発想が、プレイヤーに「とにかく先へ進んでみよう」という前向きな姿勢を植え付けた。タイムというリソース管理と、過去の行動が未来のマップを変えるという時間操作が絡み合い、単純なシューティングやRPGにはない、複雑で知的な楽しさを構築している。
時空を超える冒険がゼルダに与えたもの
そう、あの「時の扉」を開くためにタイムを稼ぎ、過去と未来を行き来する感覚は、当時の子供たちにとってはまさに時空を超える冒険そのものだった。『スーパースターフォース』が残した最大の遺産は、この「時間を消費するリソースとしてのタイム」と「過去の行動が未来のマップを変える」という二重の時間操作システムにある。このゲームがなければ、後の『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』における「過去と未来の世界を行き来する」という核心的なギミックは、あれほど洗練された形では生まれなかったかもしれない。さらに、シューティングパートで資源を稼ぎ、その資源でRPGパートを進行させるというハイブリッド構造は、『アクトレイザー』や『エヴァーグレイス』といった、異なるジャンルのゲームプレイを一つの作品内で融合させる試みの、明確な先駆けとなった。一見すると特異な作品に思えるが、そのDNAは様々な形で後続作品に受け継がれ、ゲームデザインの可能性を広げる礎の一つとなったのである。
GAMEXスコア
| キャラクタ | 音楽 | 操作性 | ハマり度 | オリジナル度 | 総合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 85/100 | 78/100 | 82/100 | 90/100 | 95/100 | 86/100 |
オリジナル度が突出して高い。これは、宇宙戦艦ヤマトのオマージュでありながら、独自の「星を救う」という壮大な旅そのものがゲームの核となっている点を評価したのだろう。キャラクタとハマり度の高さは、シンプルながらも美しいグラフィックと、一発クリアを目指す中毒性の高さを物語っている。音楽と操作性がやや控えめなのは、当時のシューティングゲームとしては標準的であったが故の採点かもしれない。総合86点は、このゲームが「傑作」の域に達していることを示す、確かな証左である。
あの宇宙の果てまで響いた電子音は、単なるBGMではなかった。今やレトロゲームの殿堂で燦然と輝く『スーパースターフォース』は、一発のミスも許されない緊張感と、それを乗り越えた時の達成感を、ゲームという媒体に最初に刻み込んだ作品の一つだ。当時の子供たちは、このゲームから「挑戦することの美学」を無意識のうちに学び取った。そのDNAは、今日のインディーゲームや、魂のようなゲームデザインに確かに受け継がれている。
