| タイトル | バブルボブルPart2 |
|---|---|
| 発売日 | 1993年4月30日 |
| 発売元 | タイトー |
| 当時の定価 | 7,500円 |
| ジャンル | アクション |
あの頃、友達の家で見たファミコンの画面は、確かに『バブルボブル』だったはずなのに、なんだか少し違う。主人公のドラゴンが妙に大きくて、泡もどこか重たそうだ。「これ、2だってよ」と友達が言う。でも、ゲームセンターで夢中になったあの『バブルボブル』の続編って、他にもあったような…? 混乱する子供心をよそに、カビーとルビーという名の新たな泡ドラゴンたちの冒険は、すでに始まっていた。
1993年、ファミコンに帰ってきた交代制のバブル
そう、あの泡を吐くドラゴンたちが、ついにファミコンに帰ってきたんだ。しかし、この『バブルボブルPart2』が発売された1993年という年は、ゲーム業界にとっては少し複雑な時期だった。スーパーファミコンが勢いを増し、メガドライブも健在で、16ビット機の戦いが本格化していた。そんな中で、あえてファミコンという8ビット機で続編を出すという選択には、ある種の覚悟が感じられる。
タイトーは、家庭用に最適化するという名目で、システムに大胆な手を加えた。残機制とライフ制の併用、そして何より2人プレイが交代制になった点は、当時のファミコンユーザーには少なからず衝撃だったに違いない。友達と一緒に泡に包まれた敵を追いかけ、同時に跳ね回るあの協力プレイの感覚は、この作品では「順番待ち」へと変容してしまった。これは、おそらく家庭用テレビの画面サイズや、当時の技術的制約を考慮した上での苦渋の決断だったのだろう。
さらに興味深いのは、この作品が『バブルボブル』の「正統な」続編としての地位を、容易には得られなかった点だ。というのも、タイトーはこの作品以前に『レインボーアイランド』に『THE STORY OF BUBBLE BOBBLE 2』という副題を与え、その後も『バブルシンフォニー』の北米版を『BUBBLE BOBBLE II』とするなど、「2」の称号を複数の作品に乱発していた。このPart2は、そうした混乱した系譜の中に、遅れて登場した一作なのである。
開発陣は、そうした混沌を承知の上で、あえて「Part2」と名乗り、新たな主人公カビーとルビーを登場させた。彼らは前作のバブルンとボブルンの子孫という設定で、ストーリーに継続性を持たせようとした痕跡が見える。当時のファミコン市場は、もはや成熟期から衰退期へと向かいつつあった。そんな中で生まれたこの作品は、8ビットの枠組みの中で、いかにして名作の系譜を継承し、新たな楽しみを提供するかという、開発者たちの挑戦の結晶であった。
溜め攻撃が生んだ、泡に包まれる浮遊感覚
そう、あの泡を溜める感覚だ。指がBボタンを押し込んだまま、画面の中のキャラクターがふっくらと膨らんでいく。まるで風船のようにゆっくりと浮かび上がるその動きは、前作にはなかった全く新しい呼吸をゲームに与えていた。『バブルボブルPart2』の面白さの核心は、まさにこの「溜め」のシステムにある。単に泡を吐いて敵を包むだけではなく、その泡を「体内に蓄える」という一つの制約が、プレイヤーの創造性に火を付けたのだ。
泡を溜めている間は、当然ながら新たな泡を吐くことができない。無防備な時間だ。しかしその代わり、浮遊という新たな移動手段を手に入れる。高い場所へと一気に到達したり、あるいは危険な床の上を悠然と漂ってやり過ごしたり。この一見シンプルな追加が、ステージの見え方を一変させた。壁や天井が単なる障害物ではなく、泡の気流に乗って到達できる「もう一つの経路」として立ち現れてくる。開発チームが家庭用に向けて難易度を調整したというが、この「溜め」のシステムは、単なる難易度調整以上のものを生み出している。それはプレイヤーに「どう動くか」ではなく、「どう浮かぶか」という新たな思考を強要し、慣れ親しんだバブルボブラーの世界に、深さという新次元を追加したのだ。
前作の協力プレイが交代制に変わったことも、この「溜め」の概念と無関係ではないだろう。一人でじっくりと泡を蓄え、状況を見極め、独自のルートを開拓する。その個人の工夫と発見の積み重ねが、この作品の持つ味わいを形作っている。泡はもはや武器である前に、自身を包み、世界と関わるための「媒体」となった。あのBボタンを押し込んだ手応えは、単なるアクションではなく、戦術的な「深呼吸」の感触として、今でも指先に蘇ってくる。
チャージとホバリング、その後のアクションゲームへ
そういえば、あの泡を溜めて浮くシステムは、当時としては画期的だった。敵を閉じ込めるだけでなく、自分自身が泡に包まれて宙に浮かぶ。あの浮遊感は、ただの移動手段を超えて、ステージ全体の攻略の視点を変えてしまった。
この『バブルボブルPart2』が持っていた「溜め攻撃」と「浮遊」のシステムは、後のアクションゲームに確実に影響を及ぼしている。具体的には、敵を一掃するための「チャージショット」や、空中での機動性を高める「ホバリング」の概念の先駆けと言えるだろう。単純なジャンプと攻撃の組み合わせから、戦略的な「溜め」と「位置取り」を要求するゲームプレイへの転換点だったのだ。
さらに、ステージ内に動く床やループする構造を組み込んだ点も見逃せない。これは固定されたスクロールだけではない、動的なステージギミックの導入であり、後のパズルアクションやプラットフォーマーがステージそのものを「仕掛け」として扱う方向性を示していた。全80ラウンドというボリュームと、10ラウンドごとの中間ボス、20ラウンドごとの大ボスという区切り方は、家庭用向けに消化しやすいリズムを意識した設計だった。当時は「難易度が低め」と評されたこともあったが、それはむしろ、キャラクターの能力を駆使してステージを「攻略する」楽しさに重点を置いた結果だろう。泡で敵を包み、割って倒すという根源的な快感はそのままに、プレイヤーに与えられる選択肢と戦術の幅を確実に広げた作品なのである。
GAMEXスコア
| キャラクタ | 音楽 | 操作性 | ハマり度 | オリジナル度 | 総合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 78/100 | 72/100 | 85/100 | 90/100 | 65/100 | 78/100 |
操作性とハマり度の高さが際立つ採点だ。キャラクタの愛らしさと、思わず没頭してしまうゲーム性が評価されている。一方でオリジナル度が控えめなのは、前作の完成形をさらに磨き上げた安定作という位置づけだろう。泡に閉じ込めて倒すという基本システムは変わらず、そこに新たなパワーアップや兄弟プレイの妙味が加わった。遊び込むほどにその手触りの良さが分かる、まさに「パート2」に相応しい仕上がりである。
あの頃、泡に閉じ込めた敵を次々と連鎖させた高揚感は、今でも無数の協力プレイゲームに息づいている。一つの泡が弾けるたびに広がる、シンプルで深い遊びの輪郭は、決して色あせることはないだろう。
