| タイトル | フォーメーションZ |
|---|---|
| 発売日 | 1985年3月8日 |
| 発売元 | ジャレコ |
| 当時の定価 | 4,900円 |
| ジャンル | シューティング |
あの変形ボタン、押すたびに「ガガガッ」と音がして機体が組み変わるあの感覚を、誰が忘れられようか。フォーメーションZだ。コントローラーの上で、戦闘機がロボットに、ロボットが戦闘機に変わる。ただの横スクロールシューティングではない、あの時代の変形ロボットブームを、そのまま画面に閉じ込めたようなゲームだった。しかし、このゲームがファミコンに移植されるまでには、とんでもない「目コピ」開発の逸話が隠されていた。
襟川陽一が目コピした変形ロボット
そう、あの変形するロボットだ。友達の家で初めて見た時、コントローラーの「変身」ボタンを押すたびに、画面のメカがガシャンと形を変える様に釘付けになったものだ。当時のゲーム業界は、『マクロス』に代表される変形ロボットブームの真っ只中にあった。玩具やアニメで沸き立つその熱気は、当然のようにゲームにも及んでいたわけで、『フォーメーションZ』はまさにその波に乗って生まれた作品の一つだった。しかし、ここに面白い裏話がある。このゲームのファミコン版移植を担当したのは、なんと『信長の野望』で知られるコーエーだったのだ。しかも、移植にあたってはアセンブラリスト以外の資料がほとんど残っておらず、創業者の襟川陽一氏自らがアーケード版をプレイし、目で見たままを「目コピ」で再現するという、今では考えられないような手法で開発が進められたという。当時はまだ移植技術やノウハウが確立されつつある過渡期であり、メーカー間の垣根も低く、そうした混沌とした情熱が、この異色のシューティングを我々のリビングに届けたのである。
変形ボタンが生む移動と資源管理のリズム
そう、あの変形ボタンの感触だ。親指の腹でBボタンをグッと押し込むと、画面中のイクスペルが「ガシャン!」という金属音と共にロボットへと変形する。その瞬間、操縦しているのは自分自身だという錯覚に陥ったものだ。『フォーメーションZ』の面白さの核心は、まさにこの「変形」という一つのアクションが、ゲームプレイ全体のリズムと戦略を生み出している点にある。
飛行形態は速いがエネルギーを食う。ロボット形態は動きが鈍重だが、地上でエネルギーを補給できる。この単純明快な制約こそが、プレイヤーに絶え間ない判断を迫る。目の前に広がる海を、今のエネルギー量で渡り切れるか? 無理なら、いったん地上に降りてエネルギーコアを探さねばならない。この「移動」と「資源管理」が不可分に結びついたゲームデザインは、当時の横スクロールシューティングの常識を軽やかに飛び越えていた。
さらに攻撃にも深みがあった。連射できるパルスレーザーと、ボタンを押し続けて放つビッグバン。戦車はビッグバンでしか壊せないというルールが、単なる連射ゲーではなく、敵ごとに攻撃を使い分けるという戦術的な層を加えた。後に『R-TYPE』で有名となる「溜め撃ち」の概念を、このゲームはほぼ独力で確立していたのだ。限られたハードウェア性能の中で、変形という一つのアイデアから、資源管理、地形攻略、武器選択という複数のゲーム性を紡ぎ出したその創造性は、今なお色あせない。
ビッグバンがR-TYPEに繋いだ「溜め撃ち」の系譜
そういえば、あの変形中にエネルギーが切れて海にドボン、という絶望感はなかなか味わえるものではなかった。『フォーメーションZ』がシューティングゲーム史に残した最大の功績は、言うまでもなく「溜め撃ち」システムの先駆けとなったことだろう。1984年のアーケード版、そして1985年のファミコン版において、すでに「ビッグバン」という名の溜め撃ち攻撃が実装されていた。このシステムがなければ、その3年後に登場した『R-TYPE』のチャージショットも、あるいはその後の多くのシューティングゲームに受け継がれた「溜め」の概念そのものも、あの形では生まれなかったかもしれない。さらに、自機がロボットと戦闘機という二形態をとり、状況に応じて変形するというゲームプレイは、後の『アサルトスーツ レイノス』や『サイバーナイト』といった、機体変形や形態切り替えを戦術の核に据えた作品たちに、確かなDNAを残している。単なる横スクロールシューティングの枠を超え、戦略的なエネルギー管理と攻撃手段の選択をプレイヤーに強いたそのゲームデザインは、当時としては極めて先進的だった。2026年にフルリメイクが予定されているのも、単なるノスタルジーではなく、その革新的なゲーム性が再評価されている証左と言えるだろう。
GAMEXスコア
| キャラクタ | 音楽 | 操作性 | ハマり度 | オリジナル度 | 総合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 74/100 | 82/100 | 84/100 | 87/100 | 87/100 | 83/100 |
キャラクタが74点とやや低いのは、確かに自機のデザインが地味だったからだろう。しかし操作性84点、ハマり度とオリジナル度が共に87点という高評価こそが本作の真骨頂だ。縦スクロールシューティングでありながら、自機の向きを自由に変えられるというシステムが、当時のプレイヤーに新鮮な驚きを与えた。慣れれば自在に旋回し、敵を撃ち落とす快感は他に代えがたい。音楽82点も、電子音ながら疾走感あるBGMがゲームの緊張感を高めていた。総合83点は、地味な見た目を覆す、確かな遊びの深さを証明している。
あの斜めスクロールの衝撃は、単なる画面効果を超えていた。プレイヤーの視点を三次元へと解放し、後のアクションゲームにおけるカメラワークの可能性を拓いたのだ。今、荒野を駆けるオープンワールドの源流に、この一片の戦闘機の軌跡を見るのは決して誇張ではないだろう。
