| タイトル | スーパーチャイニーズ2 ドラゴンキッド |
|---|---|
| 発売日 | 1989年12月2日 |
| 発売元 | カルチャーブレーン |
| 当時の定価 | 6,500円 |
| ジャンル | アクションRPG |
あの頃、友達の家で回しプレイしたのは、大抵が対戦格闘かスポーツゲームだった。だが、時折、あの白いカセットが差し込まれることがあった。「ちょっと、これやろうぜ」画面に現れるのは、チャイナ服を着た二人の少年と、どこか懐かしい俯瞰視点の町並み。そう、あの「運動会」ができるゲームだ。
『スーパーチャイニーズ』の名を冠していながら、前作とはまるで空気が違う。ジャックとリュウという名の主人公たちは、もはやシニカルな忍者ではなく、どこにでもいそうな元気な少年に変わっていた。世界の見え方も、横スクロールのステージクリアから、RPGのような上から見たマップへと一変する。雑魚戦はアクション、ボス戦はコマンド選択式という、当時としては珍しいハイブリッドなシステム。これが、後のシリーズの礎となったことは間違いない。
しかし、何と言ってもこのゲームの真骨頂は、本編をクリアした後、あるいは時には本編そっちのけで遊びたくなる「運動会モード」にある。かけっこに玉入れ、障害物競走。本編で覚えたアクションを、今度は友達と競い合うために使うのだ。あの独特の操作感覚で駆け抜けるグラウンドは、対戦格闘ゲームとはまた違う、純粋な「遊び」の楽しさが詰まっていた。
ナムコからカルチャーブレーンへ、ライセンス制度の狭間で生まれたハイブリッド
あの運動会モードで友達と競い合った記憶は、多くのプレイヤーにとって本編の冒険と同じくらい鮮烈なものだろう。しかし、この『スーパーチャイニーズ2 ドラゴンキッド』が我々の前に現れた背景には、当時のゲーム業界の大きなうねりが潜んでいる。前作『スーパーチャイニーズ』はナムコから発売されていたが、この続編がカルチャーブレーン名義となったのは、任天堂のライセンス制度が業界を塗り替えつつあった時代の反映に他ならない。サードパーティーとしての自立を目指す開発陣は、前作の面クリア型アクションという骨格に、当時絶大な人気を誇っていたRPGの要素を大胆に織り込むという挑戦を試みた。その結果、フィールドマップでの探索、コマンド選択式のボス戦、そして横スクロールアクションによる修行ミッションという、一つのゲームの中で三つの異なる遊びを体験できるハイブリッド構造が生まれた。主人公の名前が「ジャック」と「リュウ」に変更され、ストーリーもより明るいドタバタ活劇へと路線変更されたのも、こうした新たな挑戦の一環であった。アクションとRPGの融合という、後の多くの作品が追随する道筋を、この作品はファミコンの黄昏期に確かに示していたのである。
ジャックとリュウ、二つのゲームを生きる主人公たち
そうだ、あの二人で旅に出る感覚だ。ジャックとリュウを操作する十字キーは、まるで二人の息遣いを直接感じているようだった。フィールドマップを歩き回り、突然切り替わるアクション画面。岩を叩けばアイテムが、敵を倒せば経験値が舞い上がる。この「切り替わり」こそが、このゲームの面白さの核心にある。
アクションとRPG、二つの要素を単に混ぜたのではない。それぞれの「制約」が互いを引き立て合う仕組みを作り上げている。アクションパートはシンプル極まりない。パンチとキック、ジャンプだけだ。しかし、その制約された操作の中で、敵の動きを読み、岩の配置を利用し、時には逃げることも必要になる。得られる経験値とお金が、次の町での装備や回復に直結するから、一戦一戦が単なる雑魚退治ではなく、確実な「成長」の一部として感じられるのだ。
そして、あのボス戦でのコマンド選択。画面が切り替わり、突然静かなBGMとともに「たたかう」「にげる」の文字が現れる。アクションの熱気から一転、戦略を考える間が生まれる。この緊張感の緩急こそが、子供心に深く刻まれたリズムだ。一人でプレイしていても「よぶ」を選べば、もう一人の主人公が駆けつけてくれる。このシステムは、プレイヤーに常に「二人の主人公」という意識を持たせ、孤独なRPGの旅ではなく、コンビで冒険しているという連帯感を生み出していた。
修行と称された横スクロールアクションミッションは、純粋な腕試しの場であると同時に、得られる必殺技という報酬が、その後の戦いを確実に楽にするという実利的な意味合いも持っていた。全ての要素が「成長」という一点に向かって設計されていたのだ。アクションの爽快感とRPGの育成感覚。この二つが見事に融合したとき、コントローラーを握る手に、単なるクリアではなく「冒険そのもの」を体験している実感が湧き上がってきた。
運動会モードの向こうに広がる、アクションRPGの一つの形
あの運動会モードで友達と競った記憶は、今でも鮮明に残っている。しかし『スーパーチャイニーズ2 ドラゴンキッド』の真の革新は、アクションとRPG、そして対戦モードという異質な要素を一つのカートリッジに詰め込んだその「ハイブリッド性」にあった。この作品がなければ、後の「アクションRPG」というジャンルの一つの方向性は、もっと単調なものになっていたかもしれない。特に、フィールド移動は俯瞰視点、雑魚戦は横スクロールアクション、ボス戦はコマンド選択式という切り替えシステムは、後の『天地を喰らう』シリーズや、様々なファミコン後期のアクションRPGにその痕跡を見ることができる。さらに、本編とは独立した対戦専用モードを収録した発想は、『忍者龍剣伝』の影業モードや、『バトルトード』のような対戦アクションの萌芽とも言えよう。一つの作品で複数の遊びを提供するというその貪欲な姿勢こそが、この作品の最大の遺産である。
GAMEXスコア
| キャラクタ | 音楽 | 操作性 | ハマり度 | オリジナル度 | 総合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 85/100 | 88/100 | 78/100 | 90/100 | 92/100 | 87/100 |
キャラクタと音楽が軒並み高得点だ。ドラゴンキッドのデザインや敵キャラのバリエーションは確かに目を引く。BGMの軽快なメロディは耳に残り、ステージを駆け抜けるリズムを生み出していた。一方、操作性はやや物足りない点数である。ジャンプの挙動や攻撃の硬直が、時に歯痒さを感じさせただろう。しかし、オリジナル度とハマり度の高さがそれを補って余りある。異色の中国風世界観と、アイテムを駆使したアクションは、一度掴めばやめられない中毒性を確かに備えていたのだ。
あの頃、友達と肩を並べて挑んだラスボスは、今や懐かしさと共に蘇る。『ドラゴンキッド』が残したものは、単なるクリアの達成感ではない。無数のコンティニュー画面を経て手に入れた、何度でも立ち上がるその根性こそが、後のゲーマーのDNAに刻まれたのだ。
