【ニンダイ】Nintendo Direct 2025.9.12 発表内容 完全まとめ

2025年9月12日22時に放送された「Nintendo Direct 2025.9.12」では、Nintendo Switchおよび次世代機Switch2向けの大型新作やリメイク、DLCなど多彩なタイトルが一挙公開された。ここでは発表内容を整理しつつ、各作品が持つ狙いや市場への影響を分析していきたい。

Nintendo Direct 2025.9.12 発表内容一覧

タイトル プラットフォーム 発売時期 概要
ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー 映画 2026年4月24日 マリオ映画第2弾。キャスト一新で世界規模展開。
スーパーマリオギャラクシー+2 Switch/Switch2 2025年10月2日 過去作を同梱し、最新機能と高解像度化を実現。
マリオテニス フィーバー Switch2 2026年2月12日 シリーズ最多38キャラ。ストーリーモード搭載。
スーパーマリオブラザーズ ワンダー Nintendo Switch 2 Edition Switch2 2026年春 新モード「みんなでリンリンパーク」追加、協力・対戦強化。
ヨッシーとフカシギの図鑑 Switch2 2026年春 絵本調の2Dアクション。家族層向けの新規タイトル。
流星のロックマン パーフェクトコレクション Switch/Switch2 他 2026年春 全作+全バージョン収録。オンライン対戦に対応。
Dinkum Switch/Switch2 2025年11月6日 島で暮らすスローライフシミュレーション。海外人気作の日本版。
トモダチコレクション わくわく生活 Switch/Switch2 2026年春 Miiが自由に生活。ソーシャル性を重視した新作。
ゼルダ無双 封印戦記 Switch2 2025年11月6日 無双アクション最新作。おすそわけ通信で2人協力プレイ対応。
ドラゴンクエストVII Reimagined Switch2/Switch/PS5/Xbox/PC 2026年2月5日 完全3Dリメイク。ボイス追加と新シナリオを搭載。
FF7 リメイク インターグレード Switch2/Xbox Series/PC 2026年1月22日 大作RPGのリメイク。Switch2の性能を活かした移植版。
Metroid Prime 4: Beyond Switch2/Switch 2025年12月4日 長年待望のシリーズ最新作。ハード性能を活かした探索型FPS。
零 ~紅い蝶~ REMAKE Switch2/PS5/Xbox/PC 2026年初頭 古典ホラーのリメイク。ビジュアル・演出を大幅強化。
ポコ あ ポケモン Switch2 2026年春 メタモンが主人公。スローライフとクラフト要素を融合。
ポケモン レジェンズ Z-A「M次元ラッシュ」DLC Switch2/Switch 2025年10月16日 新メガシンカを追加した大型DLC。継続プレイを促す。
パワーウォッシュ シミュレーター2 Switch2 2025年秋 最大4人オンライン協力。癒し系作業ゲームの最新作。
ドンキーコング バナンザ「DKアイランド & エメラルドラッシュ」DLC Switch/Switch2 配信中 新ステージとモードを追加する有料DLC。

マリオ関連:40周年を祝う大規模展開

今回もっとも注目されたのは、マリオ40周年に合わせた複数の新作と映像企画だ。まず映画『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』が2026年4月24日に公開されることが決定。前作映画の大ヒットを受けて、世界規模でのIP拡大を狙ったメディアミックスの中核となる。

ゲームでは『スーパーマリオギャラクシー+スーパーマリオギャラクシー2』の同梱パッケージが2025年10月2日に発売。過去作を最新ハードで蘇らせることで、旧作ファンの再購入と新規層の取り込みを同時に狙う戦略だ。

さらに『スーパーマリオブラザーズ ワンダー Nintendo Switch 2 Edition』では、新モード「みんなでリンリンパーク」が追加される。協力や対戦を重視したモード構成は、家族や友人とのローカルプレイを促進し、Switch2の性能を活かした集団体験を前面に押し出している。

スポーツ系では『マリオテニス フィーバー』が2026年2月12日に登場。シリーズ最多の38キャラクターとストーリーモードを搭載し、Switch2のグラフィック性能や操作感の向上を活かした進化が期待される。

RPG・アクション大作の再始動

任天堂外の人気シリーズも大きく動いた。スクウェア・エニックスは『ドラゴンクエストVII Reimagined』を2026年2月5日に発売。完全3Dリメイクとボイス追加、シナリオ再編によって現代的に生まれ変わる。Switch2の高性能を最大限活かしつつ、PS5やXbox、PCを含むマルチ展開でグローバル市場を狙う。

メトロイドファン待望の『Metroid Prime 4: Beyond』は2025年12月4日に発売が決定。長らく沈黙していたシリーズがついに動き出し、年末商戦の大きな呼び水となる。Switch2版では描写や操作性がさらに進化し、コアゲーマー層への強力なアピール材料となりそうだ。

ホラー分野では『零 ~紅い蝶~ REMAKE』が2026年初頭に登場。名作ホラーを最新機種向けに刷新し、グラフィック表現の向上と恐怖演出の強化が図られる。シリーズファンに加えて、新規ユーザーにも訴求する形だ。

カプコンは『モンスターハンターストーリーズ3 ~運命の双竜~』を2026年3月13日に発売。育成RPGとして確立した同シリーズの最新作で、モンスターの育成や探索の自由度がさらに拡張される見込みだ。

人気シリーズのコレクションと強化施策

懐かしのタイトルを一挙に収録する試みも多い。カプコンは『流星のロックマン パーフェクトコレクション』を発表し、シリーズ全作・全バージョンを網羅。オンライン対戦対応で、単なる復刻以上の価値を与えている。ファンはもちろん、新規プレイヤーにとってもシリーズへの入口となるだろう。

さらに『バーチャルボーイ Nintendo Classics』では、Switch Online追加パック向けにバーチャルボーイの名作群を提供。専用ハードやペーパーモデルの発売も予定され、任天堂が自社のレガシー資産を積極的に再活用する姿勢が際立つ。

スクウェア・エニックスは『FF7 リメイク インターグレード』を2026年1月22日にSwitch2対応で発売。家庭用ゲームの名作をSwitch2世代に取り込むことで、プラットフォームをまたいだユーザー層を一気に広げる狙いが見える。

ポケモン関連:新作と追加コンテンツ

ポケモンブランドでは、完全新作『ポコ あ ポケモン』が発表された。主人公は人間に変身するメタモンで、スローライフやクラフト要素を取り入れたサンドボックス型RPGとなる。2026年春の発売予定で、従来の対戦重視から一歩踏み出した新たな方向性を打ち出した。

同時に『ポケモン レジェンズ Z-A』には追加DLC「M次元ラッシュ」が発表され、2025年10月16日より配信される。カロス地方の御三家にメガシンカを導入し、既存ユーザーの継続的なプレイを促進する。

協力・対戦を重視する作品群

協力や交流をテーマにした新作も目立った。ヨッシーが主役の『ヨッシーとフカシギの図鑑』は絵本のような世界を舞台にした2Dアクションで、Switch2の性能を活かした美しいビジュアルと直感的操作が魅力となる。友人や家族と気軽に楽しめる内容で、ファミリー層を強く意識している。

また、『パワーウォッシュ シミュレーター2』は画面分割や最大4人のオンライン協力プレイを実装し、癒し系シミュレーションとして新たなコミュニケーションの場を提供する。小規模ながら注目を集めたDLCとしては『ドンキーコング バナンザ』の新ステージ「DKアイランド & エメラルドラッシュ」が即日配信された。

多様化するジャンルと遊び方

今回のニンダイでは、アクション、RPG、ホラー、シミュレーション、スポーツ、サンドボックスなどジャンルが極めて幅広い。Switch2の普及を意識しながらも、既存Switchユーザーも取り残さない配信計画を整えている点が特徴だ。マルチプレイ対応やオンライン対戦機能が多数のタイトルに組み込まれ、家庭内だけでなくオンラインでの交流を重視する傾向も鮮明になった。

これらの発表は、単なるゲーム発売情報にとどまらず、任天堂が今後のハード移行とIP強化をどのように進めていくかを示すものと言える。次回はこれらを踏まえ、任天堂全体の戦略を掘り下げる。

「Nintendo Direct 2025.9.12」から読み解く任天堂の戦略

ニンダイ2025.9.12は単なる新作披露会ではなく、次世代ハードSwitch2の普及を加速させるための戦略的な場であった。発表された作品群とその配置から、任天堂が描く中期的なロードマップが透けて見える。

Switch2への世代移行を本格化

今回発表された主要タイトルの多くがSwitch2対応もしくはSwitch2専用であり、発売時期も2025年末から2026年前半に集中している。これは年末商戦から新年度商戦にかけてSwitch2を一気に浸透させる狙いがあると見ていい。従来のSwitchを切り捨てるのではなく、Switchとのマルチ展開を併用することで既存ユーザーの不満を和らげつつ、自然な移行を促しているのが特徴だ。

たとえば『マリオテニス フィーバー』『ヨッシーとフカシギの図鑑』『Metroid Prime 4: Beyond』などはSwitch2の高性能を前提にしたタイトルで、グラフィックやレスポンス、協力プレイ機能の面で旧機種との差を実感できる構成となっている。ユーザーに「次世代で遊ぶ理由」を明示する一方で、『ドラゴンクエストVII Reimagined』のようにSwitchや他ハードでも遊べるタイトルを並行して提供し、買い替えを急がない層も取り込んでいる。

ブランドIPの価値を最大化

マリオ40周年を軸にした展開は、任天堂のIP活用術の象徴だ。映画『ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー』、シリーズ過去作の同梱パッケージ、追加モードを搭載した新エディションと、多面的にブランドを拡張。ゲーム体験の提供だけにとどまらず、映像や周辺商品を通じて世界的な認知と売上を押し上げる仕組みを整えている。

同様の流れは他シリーズにも及ぶ。『ゼルダ無双 封印戦記』はゼルダの世界観を広げるアクション無双として、ファン層をより広く取り込む。『ファイアーエムブレム 万紫千紅』は既存シリーズの世界観を発展させつつ、Switch2世代のフラッグシップとして位置づけられている。これらはIPの長期価値を保ちながら新規層を呼び込む手堅い布陣だ。

リメイクとコレクションで安定収益を確保

『流星のロックマン パーフェクトコレクション』『零 ~紅い蝶~ REMAKE』『バーチャルボーイ Nintendo Classics』など、リメイクやコレクション系の発表が目立った。既存ファンの支持を得やすく、開発リスクやマーケティングコストを抑えながら確実に売上を見込めるタイトルで、次世代ハード初期のラインナップを安定させる役割を担う。

同時に、Switch2世代の品質基準を満たした映像・操作・オンライン機能を付加することで、単なる懐古商品に留まらない価値を創出。過去資産の現代的アップデートが、次世代機普及の潤滑油となる構造が鮮明になった。

多様化するプレイスタイルへの対応

発表タイトルのジャンルはアクション、RPG、ホラー、シミュレーション、サンドボックスなど幅広く、遊び方もソロからオンライン協力まで多彩だ。『スーパーマリオブラザーズ ワンダー Edition』の「みんなでリンリンパーク」や『パワーウォッシュ シミュレーター2』の最大4人協力プレイなど、他者とのコミュニケーションを前提としたタイトルが増えている。

これは家庭内やオンラインで「誰かと一緒に遊ぶ」ことを重要な価値として提示し、ゲームを一人遊びの枠から拡張する試みといえる。Switch2が持つ高い処理能力や通信機能が、この方向性を下支えするだろう。

マルチプラットフォームとグローバル戦略

『ドラゴンクエストVII Reimagined』や『FF7 リメイク インターグレード』などが示すように、任天堂は自社プラットフォーム外への展開にも柔軟だ。自社の看板タイトルでは独占を維持しつつ、他社IPをマルチプラットフォームで積極的に取り込み、Switch2をその中核に据えることで、ハードの存在感を強めながらソフトの売上最大化を図っている。

クラウドサービスやサブスクリプションの普及も視野に入れるなら、マルチ展開は不可欠な布石となる。自社オンラインサービス「Nintendo Switch Online+追加パック」の強化は、こうした総合戦略の一環と捉えられる。

次の1年を見据えた供給計画

発表タイトルの発売時期は2025年末から2026年前半に集中しており、Switch2の普及初年度を一気に盛り上げる計画が透けて見える。年末商戦に『Metroid Prime 4: Beyond』、翌年初頭に『FF7 リメイク インターグレード』『ドラゴンクエストVII Reimagined』、春に『ポコ あ ポケモン』や『ヨッシーとフカシギの図鑑』といった形で、大型タイトルを切れ目なく投入するラインナップだ。

これにより、ハード購入直後のユーザーに「常に次の期待作が控えている」という安心感を与え、買い控えを防ぐ。ソフト供給が滞ればユーザー離れにつながるが、今回の発表はそのリスクを最小限に抑える設計といえる。

ニンダイ2025.9.12は、Switch2への世代交代を一気に進めると同時に、既存ユーザーを取りこぼさないバランス感覚を示した発表だった。マリオ40周年を起点に自社IPの価値を最大化し、リメイクやコレクションで安定収益を確保しつつ、多様なジャンルと協力プレイを軸に新しい遊びを提案。さらにマルチプラットフォーム対応で世界市場を視野に入れた総合戦略が明確になった。

次の焦点は、2026年後半以降にどのような完全新規IPや革新的な体験を投入するかだ。今回の布陣が基盤づくりの第一段階であるなら、次回以降のダイレクトはSwitch2を象徴する革新作の発表が求められる。任天堂がこの期待にどう応えるか、世界中のユーザーが注目している。

(文責 ゲームジャーナリスト・松沢慎太郎)

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任天堂